2024 スリランカハウス

意匠設計 東京理科大学岩岡竜夫研究室

住宅機能をもつ宿泊施設 集合単位の可変性

スリランカ最大の都市コロンボから北東へ約20km、キャンディロードと呼ばれる幹線道路の沿線から50mほど入ったところに、スリランカ人である施主の実家の隣の約500m2の敷地内に3 階建の共同住宅を提案するものである。施主の要望は、この建物を海外からの観光客のための滞在拠点となるとともに、国内者向けの賃貸住宅としても活用できる施設であった。滞在期間と滞在人数が不特定であるが、ここでは60m2程度の2LDK タイプの同一住戸を各階3 戸ずつ用意し、各住戸の一番奥の寝室が互いにコネクトできるような付属扉をつけることで、住戸の寝室数をフレキシブルに変えられるようにした。また、各住戸は2つの共用階段から出入りが可能で、さらに建物の外周全体を周回できる連続バルコニーを設けている。建物内の小さな中庭は各室に自然採光と自然通風・換気を確保するための空間で、この正方形の中庭を中心として、住戸内通路、諸室、バルコニーが同心円状に配されることで、トロピカルな植林帯が広がる周辺環境の中にシンボリックな場をつくることを意図した。