用途 専用住宅
場所 東京都板橋区
構造規模 木造3階建
基礎形状 柱状改良の上ベタ基礎
空調形式 個別エアコン
敷地面積 114㎡
建築面積 40㎡
延床面積 116㎡
竣工年 2005年
意匠設計 東海大学岩岡竜夫研究室
構造設計 OUVI横尾真
設備設計 東海大学岩岡竜夫研究室
施工 スリーエフ
掲載誌 住宅建築2006/3




周辺環境から住宅内へと続く旋回階段動線
板橋区の地形は、南部の高台である武蔵野台地と北部の荒川沿い低地に大別されるが、この住宅の敷地は、その境界面である崖地上に位置している。比較的古く宅地造成されてできた急斜面の街並みは、安アパートの窓から干された洗濯物や不規則な路地裏階段などと相侯って、建主の印象からすると<南イタリアの豊かな風景>を連想させる。
敷地は、そうした街並みを上り詰めた行き止まリの旋回広場に南面しており、東西面を既存の住宅に挟まれ、北側は十数メートルの崖となっている。こうした立体感のある特殊な周辺環境に対して、建物自身をうまく呼応させることで、豊かな住環境を享受する住まいをこの場所につくることができないかと考えた。最上階からの眺望を得るために、建物の高さを周囲より頭一つ突き出させ、さらに駐車スぺースと低層部への通風の点から、左右に隣接する住戸との壁面距離を十分に空けた。その結果、建物は周囲から孤立したミニタワーのような自立した形状となっている。
建物の中心部には、住宅規模のわりには大きめの螺旋階段がセットされている。さらにこの階段には、犬猫を含めた住まい手の全てに対してストレスのかからぬよう、緩い勾配と十分な幅をもたせてあるため、踊リ場の箇所を全て省略することが可能となった。この豪華な螺旋階段によって平面的に4分割された室内は、それぞれ約6畳に満たない広さの部屋の集合となるが、部屋どうしを区切る壁のほとんどが取リ外し可能な引き違い建具となっているので、各部屋は狭さをさほど感じさせないものとなっている。
各部屋の床のレベルは、個々の用途に最低限必要とされる天井高に対応する形で、階の形式に縛られることなく設定されている。その結果、隣接する床相互に半端なレベル差が生じておリ、部屋に付属する押入を開けるとその向こうに部屋がさらに続いていくような感覚と遭遇する。











