2011 バレエの家 II

大空間を上から支える木造住宅

郊外住宅地の一角の約200㎡の敷地に、バレエスタジオを併設する住宅を新たに新築するものである。住居と仕事場を1つの建物内に設けた、いわゆる兼用住宅(または併用住宅)は、職住一体化のメリットやライフスタイルの変化とともに、ベッドタウンと呼ばれる郊外住宅地の中にも多く見られるようになった。施主はすでにこの場所でバレエ教室を自宅内で経営していたが、建物の設備的な老朽化に伴い全面的に建替えることとなった。

広さ約100㎡で天井高3mのバレエ専用のスタジオ、8台以上の駐車場、2名以上の家族の住居、これが施主からの要件であった。スタジオ、駐車場、住宅、これらを敷地内に納めるために3つのヴォリュームを立体的に重層させた。まず、道路面からやや上がったレベルまでコンクリートの布基礎を立ち上げ、その下を駐車スペースとした。次に、木造の無柱空間(8m×12m)のスタジオの上部に住宅を載せるために、スタジオの壁面上部のパラペット部、及び住居内の間仕切り壁の一部を木造トラス架構梁(一部吊り鉄筋で補強)として用いている。建物の外観は、周辺からやや高台となっているため、車道に面した3方向から良く見える。そのため、矩形の外壁面の隅を湾曲させてスパンドレルの金属板をシームレスに連続させ、そこに緩やかな外部階段を取り付けることで、外観にシンボル性をもたせた。

建物は一見すると、建物がピロティで地面から持ち上がり、その陸屋根の建物の上に切妻の小屋(=住居)が載っているように見える。しかし実は、建物の床はほぼ地面に接しており、屋上の住居は屋根の上に載っているだけではなく、梁としてスタジオの天井全体を支えているなど、実体としての架構システムとその表現とのズレが、この建物の特徴となっている。

西-東断面図
南-北断面図
軸組図
軸組図
配置兼1階平面図
2階平面図
3階平面図
配置図